夏季F実習で,トノとダルの交雑らしき個体が見つかった.
両種の交雑については,かなり前から岩澤先生の研究室と一緒に調べていました.400以上の個体について遺伝子や形態を調べた結果,以下のようなことが分かっている.
・背中線のないトノはいなかった
・巷で言われている体表面の黒斑の独立,連続は判断基準としては弱い
・もっとも判別率の高い(90%)形質は足の長さで,トノの方が長い(頭胴長に対する脛長の比が大きい.ダル平均0.44,トノ平均0.48)
単独で決定的な形質は無く,複合的に判断する必要があります.
この個体は背中線が無い,脛長比は大きい(0.49),体が丸っこいなどトノとダルの形質を両方備えているので,高い確率でハイブリッド個体だと思われます.(断定するには核ゲノムを見ないといけません)
トノの繁殖時期は5月中旬から長くても2週間,ダルはトノの繁殖期末期から約1か月程度続きます.晩稲の品種ばかりの地区では,トノの繁殖期が遅れて交雑機会が増えると予想されますが,ここ数年の集約化によって作付け品種が多様化しているので,湛水圃場は長期的に確保される傾向にあります.なのでカエルさんたちにとっては朗報かもしれませんね.
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