2021年7月26日月曜日

二枚貝保全水路

 関市で行っている二枚貝保全(世間的にはタナゴ保全).

十数年前に環境配慮型水路として施工された経緯があったものの,その後二枚貝はほぼ消失.

なんとかせねばということで,設計から関わらせていただいたNEW水路.今年竣工を迎えた.

今日は竣工区間と下流部の調査.二枚貝の妊卵状況,宿主魚にグロキディウム幼生が付いているかのチェックに行ってきた.

結果は・・・グロキは吐きませんでした.魚にもついてませんでした.個体数が少なくて繁殖できていないのか,時期が外れているのか・・・もう少しこまめにチェックしたほうがよさそうです.


水路最上流部です.水量確保のため,山からの染み出しを水路に導水しています.また,農道下にボックスを3個はめ込み,プールを作ってもらいました.幼生を付けた魚が遡上し,最上流部に稚貝を落としてくれることを期待しています.おそらく全国初の試みではないでしょうか.本当は上流の水田を借り受け,ため池にして水路と接続したかったのですが,用地買収などいろいろと難しかったので,このような形にしてみました.来年あたり稚貝が沸いてくれるといいな・・




用水路との交差地点では,水量確保のため,余剰水を環境配慮水路に落としてもらってます.ご協力に感謝です.





水路合流部は重要なポイントです.水流が渦巻くことにより,自然かく乱が生じます.そのため底泥が還元化することなく,長期にわたり良好な環境が維持されると考えて大きめのマスにしてもらいました.ここでは最強の宿主魚であるオイカワの成魚,稚魚がたくさん泳いでいました.このような浅い水域にオイカワが群れていれば,二枚貝の種さえ入れば一気に増殖すると思われます.




上述の合流部の写真でも写っていますが,コカナダモが密生している区間がありました.こいつらの枯死体と泥がミルフィーユ状になって堆積し,ヘドロ化してしまうので底生生物にとっては非常に厄介です.下流部ではオオカナダモが密生していたため,3年前に住民協同作業で駆除しましたが,それ以降良好な環境が維持されています.その際,コカナダモは確認されていなかったので,今年になって新たに持ち込まれたものと考えられます.同時に金魚っぽい個体も確認されました.どなたかがコカダナモと一緒に放流してしまったのでしょうか.残念ながら環境配慮地点が外来種の拡散拠点となるのはよくあることです.




水路内に玉石を置いたりして積極的に堆砂を促しています.そのため,水路内で植生が増えるリスクがあります.そのため,定期的な草取りや浚渫が必要になる場合を想定し,水路内に下りる階段や梯子も設置しました.




二枚貝幼生が下流部から宿主魚によって持ち込まれて自然と増えるのを見守りたいところですが,二枚貝の生息数があまりにも少ないので,ゲージ内の二枚貝と水路内の宿主魚を水槽に入れて幼生を強制寄生させ,その後,被寄生魚を放流することも計画しています.


それにしても暑い.36℃の炎天下,ウェーダー履いての作業はツライ・・・


オイカワもダウン.でもそれは食いしん坊が故.夏バテ気味の私の喉は液体しか通らない・・・














































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